『向田邦子の青春』向田和子(文春文庫)

avril2003-07-07


いつか買おうと思ってずっと買わなかったようですが、ようやく文庫を手に取りました。もう何度も読んだと思ったのは立ち読みだったのか。
こんなふうに歳を取りたい、と改めて思う一冊。他者に対する心配りのそのこまやかさ。工夫をしてお洒落する、気に入ったものが見つかるまで妥協しない、というその姿勢に痺れるほどの共感。

彼女の写真がどれも美しいのは続編『向田邦子の恋文』であきらかになります。これは秘められた恋が暴露される、ショッキングな内容だという批判もあったようですが、これはこれで非常に興味深い。これを読んでますます彼女に惹かれてしまうことになる。作品が広く読まれれば、作家の生き方にもスポットライトが当たるようになるのは自然なことかと。そのひととなりが知られるほど、末永く愛されつづけるのではないでしょうか。