『ボクの音楽武者修行』小澤征爾(新潮文庫)

avril2003-08-17


数年前、年末のNHKだったか、若かりし小澤征爾が帰国したときの笑顔の映像を見たことがあって、それがあまりに小沢健二に似ていて息を呑んでしまったことがありました。そんなチャーミングな写真が巻頭を飾っておりますので買わずにはおられません。

そして内容は、愉快!痛快!
育ちの良いお坊ちゃんというだけではない青年の素顔。ヨーロッパの音楽を知るにはヨーロッパに行くしかないと、貨物船に何十日も揺られながら、目指せフランス。そして日本の古き良きグッドデザイン、ラビット・スクーターに乗ってパリを走り回る。トントン拍子にコンクールへの参加、入賞。これはきっと多くのひとを引き付ける、このひとの人柄、そして才能。

巻末、バーンスタインと共に日本の地を踏み、『あれが、おふくろ、あれが……』と出迎えに来た家族を指して紹介するシーンには、涙する。久しぶりの気持ちの良い感動。