『ユルスナールの靴』須賀敦子(河出書房新社)

ユルスナールの靴

ユルスナールの靴

きっちり足に合った靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで生きてきたような気がする。

この冒頭からもっていかれる。
幼い頃の体験を含めながら、ひとりの作家との出会いを語る、まったく新しい語り口。

静謐な文章に、酔う。