最後の物たちの国で
- 作者: ポール・オースター,Paul Auster,柴田元幸
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1999/07/01
- メディア: 新書
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銀座教文館の2階で、海外文学フェアをやっていた。新旧いろいろ、見覚えのあるタイトルがいくつかあったので、眺めているだけでもずいぶん楽しめる。
数年前にハードカバーで買ったものが文庫になっていたり、そういえば買った覚えはあるけど読んでいない本だったり、確かに読んだのだけれども、内容をあんまり覚えていなかったり、いやいや、これはしかと覚えているぞよと手に取ってみたりして、なんだか懐かしい友人に会ったような気分。ご親切にこれだけ新旧いろいろ作家別に並んでいると、本屋というより、図書館にいる雰囲気に近い。
そのなかでも柴田元幸訳のポール・オースターは確かに減っている形跡があり(売れてる本があきらかというのも、また面白い)、手にする機会がなかった作品を読む機会に恵まれる。
小学生の時に読んだ星新一のショートショートで、タイトルは失念したが、オニギリをひとつ、多くのひとが奪い合うというシュールな話があり、最後の梅干の種ひとつまで人々が争って、最後は想像を絶するくらいわけがわからなくなるという内容で、個人的には『ボッコちゃん』より衝撃的な作品だったのだが、このオースターのこの本を手にした時、そんなことを思い出した。
途方も無い世界の匂いがする。はまると、しばらく、抜け出せないような。
しかしこれはきっと現代の寓話。今どこかで起こりうる現実。
購入書店:銀座教文館 ブックカバーは青