『キス』キャスリン・ハリソン(新潮文庫)
本はいつもハードカバーで買いたいのだが、たまたま読み逃した本を文庫で手にする機会があった。新潮クレストブックスの装丁はどれもクオリティが高いが、とりわけこの表紙では物憂い女性の写真が印象深い。
乾いた文章で描かれる、近親相姦、という内容はさほど重要視されていない。主人公と母親との確執が強くとも、そこに流れる空気は静寂に満ちている。父親の存在はどこまでも影が薄い。
出版直後の頃は話題になっただけあり、たしかに堪える内容。母親の指示で処女を奪われる個所が衝撃的。
買ったところ;銀座教文館