5編の短編で構成されています
「現実との三分間」
主人公がタンゴを踊るときの心象風景が殆どなくて、これを読みながら、作者は踊ったことがあるのだろうか怪しんだ。しかしこの内容には無理が・・・ちょっとこれはありえなくない? 借金して背負うかよ?
「フーガと神秘」★★★
この作品が一番好き。電車の中で読みながら泣けてきた。しかし子供が嫁に行く話というのが、「あー作者も年齢を重ねてきたんだよなー」と思った。
「ドブレAの悲しみ」★★
これも結構すき。猫が主人公だけれども、おとぎ話的な穏やかな雰囲気が流れつつ、構成がまとまっていて読者を飽きさせない。最後のオチもちょっと笑える。
「バンドネオンを弾く女」
そう、主人公が「主婦」で「子供がいる」っていうところに、今までのこの作者の小説にない生活が描かれていますね。でもちょっとテンポが早すぎ? もう少し細部の状況を描いてほしいかな、と。
「サイゴン・タンゴ・カフェ」
うーん・・・。この作者はこういう人生を送りたいのかな。あんまり作家本人を小説に投影しすぎるっているのは、なんだか読者をいごこちの悪い思いにさせるような気がするのだけれど。しかし昔はそれが気にならなかったのだけれど。唐突に話がすすみ、最後もぎゅうぎゅう詰めのような展開。ラストが予想できちゃうというのは、ちょっとつまらなくなりますよ。